メールマガジン「活人経営」バックナンバー(第4号)

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 メールマガジン 

  「 活 人 経 営 」 〜新聞、雑誌、テレビで読むヒント〜

                            (4号)

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■「アワーカンパニー」VSファンド資本主義

◆日経新聞が発行する週刊金融情報紙「日経ヴェリタス」の2008年6月
 8日号の、セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長をインタ
 ビューした記事を読んだ。見出しは「株主市場主義は間違っている」「一
 番大切なのはお客様の信用です」「会社は『みんなのもの』であるべき」。

◆伊藤会長が84歳の誕生日に持ち株の一部、60億円相当をグループの永
 年勤続社員5000人に贈与することが報じられたことから、その動機を伺う
 ことでインタビューは切り出されていた。

◆「ヨーカ堂グループが大企業になったのは、お客様と社員のおかげです。
 この気持ちを次世代にどうのようにつなぐかを考え、社員に株を長期保有
 してもらうことで、お客様に喜んでもらうことが社員に跳ね返るようにし
 たかったのです」

◆そしてインタビューは、これまでヨーカ堂が土地資本主義とは無縁で、資
 金調達を自制して来たことについて質問した。

◆「値上がりを見込んで土地を買えば、お客さんに迷惑を掛けるからです」
 として、チェーンストア経営の手ほどきをしてくれた70年代の米国の経
 営者たちを振り返る。

◆「多くは大恐慌の体験者で質素で謙虚でした。古き良き時代の米国資本主
 義を知る人は少なくなりましたね」「80年代後半のM&A(買収・合併)
 ブームを境に米国資本主義は変質したのだと思います」「株価を上げるこ
 とがすべてに優先する『株価本位制』の象徴が2001年のエンロン事件
 です」

◆その資本主義の変容と米国型冒険主義を戒める。

◆「ヒト、モノ、カネの日本に対し、米国はカネ、モノ、ヒトの順で、それ
 が極端になったのではないかですか」「社会はヒトで成り立っているもの
 であり、カネではありません。カネの物差しは大事ですが、物差しの尺度
 が大きくなりすぎました」

◆そして、「日本は米国の悪い面をまねしすぎです」「税金をとることばか
 りを考える国家資本主義の政治家や官僚は経済を知らず、ファンド資本主
 義の金融機関や経営者も経営を知りません」と痛快に退けたうえで、「お
 客様は買ってくださらない」「取引先は売ってくださらない」「銀行は貸
 してくださらない」のが商売だとする。

◆ここで、聞き手は、「株主を顧みなかった過去の反動で、日本の株式市場
 も企業に高いリターンを求めるようになりました」と食い下がってみる。
 「年金などを運用する人たちは、M&Aをやれ、無駄な自己資本は減らせ、
 もっと利益を出して、株価を上げろといいます。しかし、独占企業ができ、
 賃金を削って利益を出せば、困るのは消費者や労働者です」「無理な利回
 りを要求すれば、投機がはびこり、詐欺が横行するのが道理です」

◆また、聞き手は「伊藤さんは顧客ありき、次は従業員、取引先、地域社会
 で、株主は最後といわれます」と、その真意を聞く。もちろん、「企業の
 長期的な繁栄には利害関係者全員を満足させる必要があり、迂遠なようで、
 株主に報いる王道ですが」をつけくわえて、遠慮気味に聞いているのだが、
 その答えは素っ気ない。

◆「難しい話ではなく、商売で一番大切なのはお客様、世の中が変わっても、
 基本は変わりません」

◆そして、このインタビュー記事の見出しとなった「みんなの会社」論が披
 露される。

◆「サラリーマン社会の日本では、「わが社(マイカンパニー)」、米国では
 株主を意識して「あなたの会社(ユアカンパニー)と呼びますが、私は
 「みんなの会社(アワーカンパニー)」が本物だと思います。米国の地方
 の優秀な非上場スーパーマーケットで、お客さんや従業員がそう呼んでい
 るのを聞いて、うらやましいと思いました」

◆聞き手の質問を流して答えているようで、実はヨーカ堂を屈指のスーパー、
 日本を代表する企業に導いてきた核心が秘められた答えだと思った。

◆「アワーカンパニー」。

◆この意識こそがスーパー、コンビニ、ファミレス、そして今やミレニアム
 グループの百貨店、銀行などを傘下に収めた「大成功者」が、それぞれの
 企業の役員ではなくそれぞれの永年勤続者に持ち株を分ける発想を生んで
 いる。そして、冒頭の「お客様に喜んでもらうことが社員に跳ね返る」ア
 ワーカンパニーの仕組みによって、企業グループ全体の従業員の活力を生
 み、グループの結束と永続的な発展をさらに願う「活人経営」あるいは
 「全従業員主義経営」への84歳の信念のメッセージなのではと私には
 映った。





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